空をなくしたその先に
「一機ついてきてる。もう一発いける?」


ダナの声に現実に引き戻された。


「もう一発って……」

「フォースダイト搭載機よ、あれ。当てれば落ちるでしょ」

「でも……」

「いけるの?いけないの?

この機体じゃふりきれないわよ。

あんたと心中だなんて冗談じゃないわ」


数秒の間。


「準備完了」


ディオは告げた。

瞬間、機体が回転する。

相手の機体から発射された弾をよけ、ダナは相手の上空に回り込んだ。

チャンスは一度。


「……あたれぇ!」


天から地へと。

白み始めた明け方の空を光が裂いていく。

フォースダイト搭載部こそはずしたものの、翼の付け根が溶かされた。

激しく回転しながら、敵機は後方へととばされていく。

ディオは目を閉じた。

きれいごとなんて言わない。

生き残るためならやるよ。

何だって。

通話装置ごしに、ジョナの声が四機ともに無事に撤退したことを伝えてきた。
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