空をなくしたその先に
ディオの指は忙しく制御装置の上を走り回っていた。

計器が警告を発し、ディオの眉がよる。

「温度が上がりすぎてる!あと一回が限界かも」

今までならこんなことはない。
機体の運動量がいつもよりだいぶ多いからだろうか。

確かにエネルギー消費量も、いつもの倍近くになっている。


「あと一回?」


ダナの声が裏返った。


「まだリディアスベイルにたどりついてないのに!」


他の軍用艦に攻撃されるより、雷神の剣の方が脱出までの時間を稼げることが多い。

撃ち込まれた弾を、わずかに右の翼を上に上げることで交わしたダナは、結論を出した。


「この先にいるはずのリディアスベイルを撃つ!」


甘いのかもしれない。

リディアスベイルまでたどりつくのは難しいことかもしれない。

それでも、サラにはやはり生きていてほしいと思ってしまう。

ディオのいる後方の席からは、何も聞こえてこなかった。

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