空をなくしたその先に
タオルを頭にかぶっていたダナが、きょとんとした顔でこちらを見る。


「だって……。

機体をここに放置していくわけにはいかないじゃない?

水の中ならそうそう見つからないし」

「そうじゃなくて」


ディオはため息をついた。

心配した、のだとどう言えばわかってもらえるのだろう。

荷物をまとめ終わったダナが、タオルをかぶったままディオの方をふりかえった。


「とりあえず場所を変わりましょ。
海岸にいたら見つかるかもしれないし」


うながされるままにディオも彼女に続く。

リュックサックと毛布を押しつけられたが、
文句は言わなかった。

空気が冷たくなってきている。
温暖な気候で知られる場所とはいえ、
夜になればそこそこ冷えてくる。

二人は海から離れるように、森の中に足を踏み入れた。

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