空をなくしたその先に
火を起こすのに使ったのは、
ここまで運んできたリュックサックに入っていたマッチだった。

次は何が出てくるのだろうと、興味深々で覗き込みながら
ディオはたずねる。


「それ、何が入っているの?」

「んー、三日分の非常食とかマッチとか。

包帯、薬。

撃墜されちゃったときに、

運良く生き残れたら必要になる物、かな。

はい、夕食」


手渡されたのは、固形の携帯食だった。

ためしに袋の端をちぎって鼻を寄せてみる。

なんとも言えないにおいがした。


「これ……本当に食べられる?」

「おいしくはないけど、
栄養にはなるわよ」


もう一袋を自分用に確保して、ダナは立ち上がる。


「水汲んでくるから、そこにいて」


遺跡を出てすぐ左にある川から水を汲んで戻ってくると、
ダナはそのカップをディオに渡した。
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