それぞれの恋

元妻

気分転換に買い物に出かけた

…来るんじゃなかった

そこには私の愛おしい前の旦那様とあの女とその子ども

私には見せたことないような

とても優しい笑顔で彼女たちを見ている

私との子どもはまだいらないって言ったくせに

あの女との子どもはもう2人もいるのね

彼女にそっくりの女の子と

彼にそっくりの産まれたての男の子


じっと見ているとあの女が私に気付いた

顔が真っ青だわ

すると彼も私に気付いた

彼は私によく見せていた困った顔をして会釈をした

そして彼女を守るかのように

優しく肩を抱き奥へと進んだ


私はそんな光景を見て涙を流した


“おばちゃん”

すぐそばには何故か彼の子どもがいた

“どこかいたいの?

あいちゃんのあめちゃんあげる”

あいちゃんはにっこり笑った


私はいつまで彼に囚われているの

もう彼は新しい人生を歩んでるのだから

私も前に進まなくちゃ

“あいちゃん、あのねー…”


あいちゃんは彼女のもとへ走って私の言葉を伝えた

彼女は泣きながら私に会釈をする

私は不思議と穏やかな気持ちになり、その場を離れた



“あいちゃん、あのね

ママにごめんなさい

お幸せにって言ってくれる?”