虹色ハート

生後８日目

　アンナは顔も体も酷くむくんでいます。
　原因はオシッコが全く出ないせいです。
　なので今朝からは最強の利尿薬を使い始めました。
　でも、体が弱ってると効かない事もよくあるみたいで、体内で出血する副作用もあるんだってさ。

　血液検査の結果は腎臓や肝臓がしっかりと復活していて、１００００弱だった数値が１５１１になっていました。
　エッヘン！
　先生からはアンナちゃんの場合だと２桁はもう絶対に無理だから３桁になれたらいいでしょうと言われていたんだよ。
　３桁までもう少し！！
　
　悪いニュースがあります。
　肝臓と腎臓が良くなっている変わりに、血小板とフィブリノーゲンの数値がすごく悪くなっていました。
　血小板の数値から見て、血管内凝固症候群(ＤＩＣ)というのにもなっちゃっているみたい。
　血小板が悪いと血を固めれないらしく、利尿薬の副作用で脳出血したらとても危険です。
　だから血液が集まり次第に血小板輸血を始めます。
　家族からの輸血は認められないうえ、とくにママは産後だから絶対にだめだそうです。
　血小板は採血して直ぐでなければ使えません。
　今、献血している誰かの血液がアンナを助けて下さいます。
　どこかで献血車を見かけたら、アンナや他の患者さんの為にもどうか献血に協力をお願いします。

　毎日良くなる所があれば、悪くなるとこもあるなあ。
　良くだけなってくれたらいいのになあ。

　今日もママがアンナに声をかけてくれました。
「アンナ、頑張れー！、ファイト－！」
　今朝はまだ鎮静剤が使われていなかったので、アンナは精一杯にお返事したよ。
　一生懸命に体を動かしました。
　お医者さんだって、こんな数値だから体中のあちこちが辛いだろうし、これだけむくみがあれば脳にももちろんむくみがあって指令を出せないはずなのに、これほど活発に動けるアンナに驚いています。

　ママは産婦人科を無事に退院しました。
　看護婦さんに背中をさすられ、慰められながらの退院でした。
　本当ならアンナを抱いて幸せ一杯で退院するはずだったのにごめんね。
　ママ、退院おめでとう。

　もう、アンナはどんなに痛くても泣けない。
　うれしくても笑うことさえ出来ないけれど、大丈夫だよ。
　だからパパもママもおねえちゃんも負けるな！