モドリミチ
モドリミチ


雨の記憶がうすいのは


私が


ぬけるように晴れた日に産まれたからだろうか




張りつめ 凍えた空気は


私の産声を


どこまで届けたんだろうか




雨の記憶は


帰り道へと続いている




大粒の雨


みぞれまじり




凍てついた指を 舐め


冷え切った足 ペダルささえ


海を背に


山へと伸びる道を




私は


一人で 帰った




酷く濡れた長い髪は


引き止めるように 頬にはりつき


吹きつける風は


踏みしめる足の力を 削ぎ落とした




未だ 鮮やかに憶えている


雨の帰り道




忘れない




家への道を忘れないように




幸せの記憶を忘れないように




私へと続く 雨の道




これからも続いていくだろう




だって


あんなにも 愛していたんだから



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