彼氏キケン地帯

噂のオオカミ



「な、な、な、な」



はだけた服装の男女。


少し長めの茶髪を無造作にワックスで整えられている、いかにもチャラそうなオトコ。


後ろで、乱れた服を直す、派手なメイクをした子が恥ずかしげもなく、太ももを見せている。



「な、な…」


パクパクと口を動かすしかなかった。


尚は、なんだか平然とあたしを抱きしめる。


そんなあたしたちを見て、チャラ男はだらしない口調で言った。



「そっちも盛り上がってたみたいでぇ〜」


チャラ…っ!!

話し方チャラい!



明るい茶髪をくしゃっと触って話す。



「あ。有名人の立花クンじゃん」


「…」


「人気あるよねー。でも彼女もちって、罪なオトコー!」



ベラベラと話すけど、尚はシカト。



「で。噂の彼女サン?」

今度はあたしに話しかけてきた。


なんだか近づいてくる。


「へ?!」


「うわ、童顔系。色気ねーなぁ」


素でコメントされたらしい。


だらしない話し方が、少し乱れて地声って感じ。


「髪、下ろした方がいいんじゃなーい?同い年にみえねーぞ」


「うっせぇ。てめーに関係ねぇだろ」


さっきまで黙っていた尚が、立ち上がって男を見下ろした。



「行くぞ、蜜希」


手を引っ張られ、強制的に立ち上がらせられる。


「蜜希ちゃんってゆーの?可愛いねー」



なんだか少し、尚とキャラ被ってるように思えるのはあたしだけか?



尚に強引に引っ張られながら、そう思った。


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