勝利の女神になりたいのッ!番外編



「ごめんなさい...」


シュンと肩を落とす私の腕を引き寄せる佐和さん。


「許さないよ」


言葉とは裏腹に優しく抱きしめてくれる。


耳元をくすぐるように掛けられる言葉にカッと体の熱が上がった。


「本当にごめんなさい」


とっても悲しい...。


だって凄く凄く準備に時間をかけて、この日の為に頑張ったのに...。


渡しそびれるなんて...


そんなのイヤだ。


「佐和さん、私取ってきます」


そうだ。


取りに行けばいい。


今すぐ部屋に戻れば...。


「ダメだよ」


「どうして?」


「嶋田と芽衣ちゃんの邪魔になるだろう?」


「でも...」


「それに...」


ゾクッとするほどの色気を出しながら妖艶に微笑む佐和さん。


吸いこまれそうになって目を逸らすと、


「チョコレートは明日でもいいよ」


「でも...」


「今は紫衣が食べたいな」


「......」


言葉を失う私に降り注ぐ甘い甘い口づけ。


溶け合うような甘い口づけに翻弄されてそのままソファーに倒れこんだ。


「今日は甘いチョコの代わりに甘い紫衣を食べるから」


覚悟しておくようにって言葉の意味を知ったのは、それから数時間後。


彼と甘い時間を過ごした私はぐったりで、


「好きだよ紫衣」


「私もです」


だけどとてもとても幸せな2人だけの時間。


甘いValentineday



fin




< 266 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop