勝利の女神になりたいのッ!番外編



「これを...。」



俺は懐の中から瓶に詰められた金平糖を紫衣に差し出した。



「金平糖、それほど珍しいものではございません。」



やはり紫衣だ。


俺の紫衣だ。




「どういうことだ三成。」



険しい表情の兄上が俺と紫衣に言葉を掛けてきた。



「兄上、これは私のものです。」



紫衣を抱きしめて兄上に言葉を返す。



俺の腕の中で紫衣は意識を失った。


緊張していたのだろう。


命を掛けてまでゆきを守ろうとし、俺を待っていると言った紫衣。


愛おしい....。







「兄上であっても譲れません。」




柔らかい彼女の体を抱き上げて俺は兄上の部屋を出た。



俺の後姿をポカンとしたまま見送る兄上には後でゆっくり説明しよう。



今は紫衣を俺の腕の中に包み込んでいたいんだ。









-fin-








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