龍と虎に愛されて。

龍心は、ズルい。


あたしを喜ばせる名人だから。


意地悪なことを言ってあたしを怒らせる名人でもあるけど。


でも……、龍心はいつだってあたしのことを考えてくれている。


杉崎君に対しての怒りも、何か理由があるのかもしれない。


理由もなく龍心は怒ったりしない。


きついこと言っちゃたし、後で龍心に謝ろう。



「佐和さん、そろそろ行こうか?」


「あ、うん」


杉崎君の言葉でハッと我に返り、あたしは小さく頷いた。

< 162 / 478 >

この作品をシェア

pagetop