龍と虎に愛されて。

「……――さない」

 
「ハァ!?」


「絶対に、許さない」


口から零れ落ちた言葉。


それと同時に、俺は男の右頬を殴りつけていた。


拳に走る鈍い衝撃。地面に尻餅をついて、驚いたように俺を見上げる男。


右足で男の背中を蹴り上げたとき、周りにいた人がザワザワと騒ぎ始めて。


男は唇から流れる血を制服の袖で拭くと、俺をにらみつけた。


「テメェ、何なんだよ!!何で俺と優華のことに口出ししてくるんだよ!!」


「優華ちゃんが好きだから」


「……ハァ!?あんな女のどこがいいんだよ!!」


呆れたようにそう言うと、男は血のかたまりをペッと地面に吐いた。


「……あんな女、喜んでお前にくれてやるよ!!」


「言われなくても、俺がもらう」


俺は地面に座り込む男を、睨み返した。
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