折れない心
「あんたたち。黙ってやられてる
 紗茅さんじゃないわよ〜ん♪」



放課後みんなが帰るのを見計らって、高槻とその仲間達に『お返し』をした。



あたしは鼻歌混じりに、チョークで机の裏を、まっピンクに塗りたくった。



こんなのかわいいもんよ。



『やられたらやり返せ!』


いつからか、それがあたしのモットー。



「いただいた物は
 二倍返ししとかないとね」



やられっぱなしは、あたしのプライドが許さない。



明日の反撃なんかまったく怖くなんかない。



集団でしか何かできない奴らに、たいしたことはできない。



まだ、大人しく一人で本を読んでる人のほうが、自分を持ってることを知った。


唯一話しかければ、話しをする人達。



でも色が違うからなぁ。



一人が楽・・・



一人なら傷つけることも、傷つけられることもない。


あれだけ仲良かった男子も高槻の言いなり。



もう誰も信じられない。



シカトのきっかけとなった当の本人は、けろっとしてるんだからバカバカしい。


世の中、間違ってることが多すぎる。



話し合えば解決することをしないばっかりに、こういう風に関係ないあたしにまで被害をもたらす。



明日の高槻達の慌てぶりを想像して、にんまり笑った。


あたしってちょいSかな。


そう思いながらチョークを置いた。



「さてと。バイト、バイト〜♪」



あたしはバイト先のコンビニへと急いだ。
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