折れない心
病院に着き、ママはここで一人ぼっちで年越しするんだと思ったら、とても可哀相になった。




ずっといてあげたいけど、ママすぐ帰りなさいって言うしなぁ・・・




ママはいつもそうだ。


自分のことより人のことが先で。


人によく騙されて、物を買わされたりしてたっけ・・・


中には百何十万円もする布団セットってのもあった。


あたしは、ママみたいにお人よしにはならないとよく思ってたけど、どうなのかな・・・・・・




そう考えながら病室のドアを開けた。




――カラカラカラ・・・




「ママ〜、来たよ〜♪」




「あら、紗茅。
 寒かったでしょー?」




「うん、激さむっ!」




「風邪
 ひかないようにしなさいよ?」




「うん、ひいたらここに来れなく
 なるしね。うがいしてひかない
 ようにがんばってるよ〜」




「そう、えらい、えらい。
     ごめんね、紗茅・・・」




「何が?」




「お正月だって言うのに・・・
 何もしてあげられない・・・」




「大丈夫だよ。
 ママこそ一人で心細いね・・・」




「ママは不摂生が祟ったんだもの
    ・・・自業自得よ・・・・・・」

そう言うママの笑った顔はなんだかとても淋しそうだった。
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