☆小悪魔*天然わんこが同居人☆


前のあたしだったら、すぐに助けを呼ぼうなんて思わなかったかもしれない。


もし呼ぼうと思っても、諦めて自分でなんとかするような感じだった。


…莉夜だから、助けてもらおうと思ったの?


『…違う、そんなの絶対ない』


ありえない。


考えてたことを消すかのように、ふるふると頭をふるあたし。


『違うんだから…』


…ポツンと呟いた言葉は、電車の音で消された。


「美玲?どうしたの?」


後ろからの突然の声にビクッと肩を揺らす。


『…あ。由宇か』

「ごめん、びっくりさせちゃった」


今から帰るのか、私服姿の由宇が、店員専用の通用口から出てきた。


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