女シャブ売人人生-波瀾万丈な一人の女の物語-
今、振り返る事ができる様になり簡単だと言えるのは結局、何もかも捨てる気持ちで自分が変わらないと状況も変わらないっていう事。
そんな簡単な答えを綺麗事並べるかの様に綺麗な形でやめるなどと考えていた自分は辞める事に対して仕方ないから辞める位の程度にしか考えてなかったのかもしれん。

今、実際に連絡先を変えた事で裏世界の人達や客との接触もなくなり、付き合い関係もなくなった。
正直、自分の生活を考えて過ごせる様になり気持ちも生活もゆとりができて楽になったと思う。
結局は自分の気持ちや考え一つだという事。
あいにく私は救われた方で幸せだといえる。
仕事を辞めると本気で思い始めた頃には出産して子供が誕生していた。
それ位にズルズルとシャブの世界から抜けれない理由もあったのです。
私はシャブの売人の中でも名前の通る存在となり名前だけで話がスムーズにいく事が多く個人業者さん達からも頼ってこられる方だった。
『辞める』そういう度に頼ってくる人が増えてくる。
まるでくいにかかられている気持ちにもなった。そういう思いをした事があったから…
集中して私にシャブの依頼がくる日々。
悩んで考えたあげく信頼できる友達の女の子に軽く声をかけた。
『シャブの仕事を辞めたいけど今すぐ難しい状況で引き継ぎ先を探してるけど、きちんとした人がおらんから結局客も連絡来て戻ってくる状況やけど、もう私も出産前やから嫌じゃなかったら代理で引き継ぎしてくれへんかな。無理にいうてないから考えてみて。』

…しかしこの私が下した判断は後々になり私が責任を感じ後悔する結果となってしまったのです。
この言葉一つから色々な意味で変わってしまったと思う。
それは悪い方向に向いて変わったと思う。
今も忘れない電話の先の声が時折頭の中を過ぎっては苦しい思いになってしまうのです。

…数日後、友達の女の子から連絡が来た。
単純に『どないしたんやろ~?』っていう位の気持ちでいてた。
『仕事引き継ぎます』という言葉だった。

一瞬沈黙となった。

< 5 / 28 >

この作品をシェア

pagetop