窓に影2

 自分は素直になれないくせに、歩には素直になってほしいと思う。

 こんな言い方しちゃうけど、誰でも良いわけないだろって、お前は俺の彼女なんだぞって主張してほしいと思う。

 でもこんな私に返ってきたのは、冷たい返事だった。

「あー、そう。答えられない相手といるってわけか」

 ここで初めて自分の言い方を反省した。

 聡美に素直になれと言われたばかりだったのに。

「そういうことじゃないし。あんたは私のこと気にせずに勉強でもしてれば?」

 口調とは裏腹に、じわっと涙が溢れ出す。

 それに気付いたのか、聡美が眉を寄せた。

「恵里、それどういう意味?」

「そのまんまよ。頑張れって言ってるの。頭良いなら読み取れるでしょ」

 私の言い方は明らかに応援している人間のものではない。

 見苦しい天邪鬼の戯言だ。

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