子供＋大人＝恋？の方程式

「ねえ、拓斗。
あんた覚えてる？」


「ん？　覚えてるって？」





　遠くを見ていた拓斗はあたしへと視線を戻す。


「近所に住む水無月圭史。
確か、拓斗のお兄さんって圭くんと同い年じゃなかった？」


「ああ。圭史か………。
確かに兄貴とは仲がよかってよく遊んでいたけど………。
そういや、大学に兄貴たちが進んでからは会ってないな………」


「そっか………」





　あ～あ、少しは圭くんの情報を聞きだせるかと思ったんだけどな………。


　どんな性格をしているのかとか………。


　でも…、大学に入ってからってことは、それまでの圭くんとは接点があるってことだよね？


「ねぇ、拓斗。
圭くんって、どんな人？」


「はぁ！？　
お前、さっきから一体何なんだよ？　
やたらと圭史のことばかり聞きやがって。
何かあるのか？」





　ええ、ええ、ありますとも。


　だけど、それを言うべきか悩む。


　こいつの場合、このあたしの不運を大笑いしそうだしな。


　でも、圭くんの情報は欲しい。


　あたしとしては、圭くんと交渉して家庭教師の件を断ってもらおうと思うんだよね。


　心の優しい人なら、きっとこのあたしの理不尽な経緯をわかってくれると思う。


　だから―――…