子供+大人=恋?の方程式





 いきなり圭くんがフッと優しそうに笑うから、なんか、言えなくなっちゃったじゃない。


「まあ、よかった。

明日もこの調子でがんばれよ」





 ポンポンとあたしの頭を叩いたかと思うと、圭くんは部屋を出て行こうとする。


「えっ!? 

もう、帰るの?」





 まさか、本当にあたしの試験の出来だけが知りたくてわざわざ来たとか?


「ああ。

あ、もしかして、もっと居て欲しかった?」


「ち、違う!」


「あははは。

わかってるって。

俺もこれからカフェのバイトが入ってるからな。

長居はできないんだ。

それじゃな」





 もう、どうしてよ。


 バイトがあるなら、わざわざここまで来なければよかったじゃない。


 なのに、わざわざ来てくれて―――… 


 そのことを嬉しいと思ってしまっている自分がいる。


 嫌いなはず。昔のことを考えると、嫌いで仕方なくて、好きになんて絶対にならないはず。


 それなのに、こんな風に嬉しいと思ってしまっているあたしは、認めたくなんて絶対にないけど、圭くんのことを―――…





 ―――好きになりかけているのかもしれない………











< 312 / 509 >

この作品をシェア

pagetop