My girl

◆閉じ込めて



「――…はぁッ」

駅近くの路地裏。


ふたりして、息をひそめる。

さすがに
ここまでは追って来ないだろう。



「ごめんな、さい……」

耳を済まさないと聞こえない程の小さな声。


――でも
泣いているんだと、ハッキリ分かった。


その小さな両手が、俺の手を優しく包み込む。



冷え切って感覚さえも失ったこの手に

再び温もりがよみがえった。




「ずっと……待っててくれてた…でしょ?」


< 136 / 311 >

この作品をシェア

pagetop