甘い魔法―先生とあたしの恋―
……―――でも。
もう、どんなに想っても届かない……。
先生……
先生―――……っ
「…、っく…、……っ」
先生に撫でられた頭。
先生に抱き締められた背中。
先生の胸に埋めた顔。
先生の匂い。
先生の体温。
先生の、キス……。
全部が、鮮明に思い出せた。
あたしの中の思い出の中で、先生と関係するものだけが、キラキラと光っているように、全部が思い出せた。
先生が、こんなに好き―――……
こんなに―――……
止まらない涙に、ベッドの枕元にあるティッシュに手を伸ばした時。
不意に、先生にもらった飴が目に入った。
『忘れ薬』
先生に、そう名付けられたいちごミルクの飴が……、あたしの視線を吸い寄せる。
けど……、忘れたいんじゃない。
先生の事、忘れたいんじゃないもん。
先生との思い出は、全部嬉しくてドキドキして。
優しすぎて涙が出るくらい、大切なモノだもん……。
忘れたいような、悲しい事なんて……、ひとつもない。
どんなに思い出したって、ひとつもない―――……