百涙千笑-ヒャクルイセンショウ-

また、貴方を好きになる。

貴方の面影が
薄れていくのを感じた。
涙が消してくれたのかな?
彼が消してくれたのかな?

彼が触れる度に
貴方への想いが薄れていくの。

私は幸せになれたの。
貴方がくれなかった物を
彼はくれたのよ。
貴方がくれなかった愛を
彼はくれたのよ。

でも 私たちは
また 出会ってしまった。

懐かしい温もり
懐かしい声
懐かしい笑顔

あれは……
一方通行の恋だった。
貴方は遊びだった。
私は本気だったのにね。

今更でしょ?
そんなに優しく
抱き締めないで。
そんなに優しく
囁かないで。

胸の奥がまた疼くの。
苦しいわ。
何でか、なんてわかってる。

急に優しくなったから
急に抱き締めるから

また、貴方を好きになる。

今の私には彼がいるのに
貴方の時の数倍の速さで
彼の面影が薄れていくの。


†+――――――――+†

これはきっと貴方の魔力ね。

†+――――――――+†
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