Triangle‐狼達とうさぎの関係‐



クーラーの効いた部屋から
部屋にあるベランダへ出ると
かすかに夏の匂いがした。




ちょうど1年前聞かされた
陽詩のあの言葉も
もしかして俺を挑発して
動かそうとしてたのかな…。




久しぶりに出たベランダからの景色は
なんだか少し懐かしい気分になる。



ふと目に止まったのは隣の家の窓。



カーテンは締め切られてるけど
電気がついているのはわかる。



あの窓から笑顔で手を振る
あの子を見たのはどのくらい前?



あのカーテンが開いてるのを
見たのはどのくらい前?



自分が避けてたんだから
手を振ってくれないのは当たり前で、

自分がベランダに出るのは
いつも夜だからカーテンが
閉まってるのも当たり前なのに



こんなことさえ
拒絶されているからじゃないか
なんて考えてしまう俺は
相当重症かもしれない。





あそこは雪乃の部屋。



大好きだった。



あの窓から乗り出すようにして
楽しそうに話す姿が
自分だけの特別な気がして。



大好きだったんだ。



一緒に過ごすあの時間が。






君が。






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