春の季節と二人の寮長
「この学校は第一寮と第二寮とで別れているの。
それで新入生はまず始めにくじ引きで寮決めを行って
寮が決まったらその寮の寮長に在学中は従わなければならない
そんな決まりもあるんだよっ」
「………………」
そんなにこやかに話す内容じゃないと思うのはおかしいだろうか
あきらかに最後のほうは最悪な内容だった気がする
「従わなければ…ならない?」
「そうっ」
「えー…なにそのめんどくさい決まり」
「めんどくさいって言わないのっ寮長さんいいひとかも知れないじゃない?」
「いや…いいひとでも…悪いひとかもしれないし」
「えーそうかなぁ?」
きっとこの子は悪いひとに会ったことがないのだろう
そんな気がする
「あとね、これは秘密なんだけどね」
誰かに聞かれたらまずいのだろうか
ちひろちゃんは妙にはおどおどしながらつぶやくように言った
「文武両道の人は寮長と付き合えるんだって」
「…………へ?」
「秘密ねっ!」
いや
意味がわからない