自分探しの旅

第13話 「二人の無雲」

 ある天気の良い昼下がりのこと。智海寺に裏庭には小さな畑があった。円心は生活の少しの足しにもと野菜などを作っていた。くわを持つ円心の額には玉の汗が光る。円心のたくましい赤銅色に日焼けした腕はくわをふりおろす。そのたび、土のかたまりがくわにすいつき、耕されていった。
 そこへ托鉢から帰ったばかりの宗純が現れた。

「円心様。客人が来られました。」

「ほう、客人とは珍しい。して、だれかな。」

 円心はくわを持つ手を止め、手ぬぐいで汗を拭いた。

「それが無雲様と言われる方なのですが・・・」

「おお、無雲殿が。」
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