自分探しの旅
「そう・・・仕事なら仕方ないね。それじゃ今夜仕事が終わって、外で食事するっていうのはどぉ?」

「わかった。また後で電話するよ。」

 そう言って電話を切ると、バタンとベッドへ転がった。

「そうだ。龍さんに電話してみよう。」

 京介はふと思い出したように、龍仁のオフィスへ電話をかけた。

(お客様のおかけになった電話番号は、現在使われていません。番号をお確かめの上・・・)

「え?」
 
 そんなはずはなかった。龍仁のオフィスへこの携帯から電話したのは昨日のことである。

『どうなってるんだ・・・』

 今度は龍仁の携帯の番号へかけてみた。

「あっ、もしもし龍さん?」

 京介は電話が通じるや相手よりも早く話していた。

「はぁ?山本ですけど。おたくどこにかけてるんです?」

 間違い電話に気づくと京介は、謝りもせずあわてて切ってしまった。でも間違いのはずはない。龍仁には何度もこの携帯に登録された番号でかけている。
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