アナタハシニマシタ
第4話 センニュウソウサ
優次と木村との捜査から5日経った十一月三十日。



警察から振り込まれた報酬は予想以上に多く修はかなり驚いた。さすがは公権力と言うべきだった。



届いたのは振り込みの確認ともう一つ違うものがあった。こちらは手書きでかなり達筆な字。こちらは木村が書いたものらしい。優次が読み上げる。



「優次と勇君へ。また依頼を見つけた。後回しでもいいから出来るならやってもらいたい依頼だ」


手紙に書かれたことを要約すると、五日前にとある県立高校の女子生徒の行方が分からない。という電話をその女子生徒の両親が電話してきた。しかし、捜査に割けるだけの人員が確保できない点でこちらに回してきたらしい。




「それ以外に何か書かれていないんですか?」



「特には…。かなり控えめで、悪く言えば箱入り娘って感じだそうだ」



特に驚くべきことではない。といった表情で優次は書類をめくっていく。年頃の女の子によくありがちなこと。とも漏らしていた。刺激的なことに憧れて垣根を超える。そして自分では帰ってこれなくなることが多いらしい。


「正直、この仕事やる気が起きねえな。こういう類のものは、結局やっとの思いで助けてやった挙句、ろくでもない言葉を言われるんだよなあ…」



優次は何度かこういった仕事を受けていたようだ。そしてろくでもない目に遭って帰ってくることが多いとのこと。


「最初の仕事は暴力団からの奪還。十人相手にぼこぼこされながら帰ってきたら普通に帰ってきてやがったし、散々罵詈雑言を吐いて結局はまた戻ることもあった。だからこういう仕事は俺はしたくない」



「それで、この仕事やるんですか?」



「・・・まあ、やってみよう。勇。お前この仕事やってみろ」



「何言ってるんですか!?俺数日前に不良高校生倒しただけですよ!二度目の仕事で本当の探偵みたいなこと出来ませんって!」




「大丈夫!大丈夫!こういうのは実際にやっていくのが一番いいんだよ。この事件はお前にやってもらう。――安心しろ。無理だとわかった段階で俺も手伝う。」



他人事と思った事件もどうやら他人事ではなくなった。修は大きなため息をついた。


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