ファーストキスは蜜の味。

ふいに、顎に指が触れた。


「こっち向け、詠葉」


「え……っ、んンぅ」



驚くまもなく、突然塞がれた唇。


カタチをなぞるように、ちゅくっと音をたてて、ゆっくりと離れた。



あっというまに離された、あったかい唇。

キスだけで、こんなにもドキドキとせわしなく鳴る心臓。


心臓が口からでちゃうんじゃないのかな!?って思うくらい、音がうるさく感じた。



「補習、頑張れよ」


意地悪そうに眼鏡をずらして、あたしに視線をあわせた。

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