おバカ彼女&天才彼氏
「あ。そういえば、この辺に痴漢が出るとかって話聞いたな…」

「ひぇ…」


ヤ、ヤダ。痴漢なんて…。


もし痴漢にあったら、最悪だよぉ…。


「どうすんだ?痴漢がうろうろしてる中、1人で帰るか?」

「それはイヤ!」

「じゃあ、決まりだな」

「あ……」


五十嵐君と一緒に帰るのも何気に恐いんですけど…。


オーラっていうの?

オーラが恐いんだよね…。

スパルタ教育も恐ろしいし…。


でも、痴漢と比べたら、比べ物にならないぐらい五十嵐君はかわいいもんだ。


「行くぞ。早く来い」

「う、うん」

「じゃあね~、お姉ちゃん!また来てね!!」

「うん、きっと来るよ。じゃあね、和貴君!」

「バイバイ!」

「行くぞ、バカ」

「バ、バカじゃないもん」

「和貴、俺達が出てから鍵閉めとけよ」

「うん」


ガチャンッ


一瞬後ろを振り返ると、和貴君が寂しそうにしていた。

のは気のせいみたいで、私が見ているのを見て、すぐ笑顔になった。


「うわっ、真っ暗!」

「当たりめーだろ?9時だぞ。お前、やっぱバカ?」

「バカじゃないから!」


私って、やっぱりバカなの?

五十嵐君に何回も言われるなんて…。


「…お前ん家ってどこだ?」

「えっと…。北平岡3丁目…」

「北平岡か…。ここから結構距離あるな…」

「うん…。だって、順番的に私の家、学校、五十嵐君の家だもん。完璧、逆方向」

「ちっ…。少し待ってろ。チャリ取ってくる」

「う、うん」


え、今五十嵐君、舌打ちしました??

五十嵐君でも、するものなんだ。
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