僕は君だけを愛してる。



「気付いてあげられなくて、ごめんね」

さらにキツく抱きしめられる。

諒の掠れるような声に胸がキュッとなる。


あたしが言いたくなかったからなのに…

ちがう、ちがう!

諒が悪いわけじゃないんだ。

諒の腕の中で首を振る。


すると、あたしの左頬に手を添え、不安そうな瞳をした、諒。

溢れた涙をゴシゴシと拭い、諒の瞳を見つめる。

「来てくれて、嬉しかった」


諒の優しさに触れて、嬉しくて胸があったかくなったよ。


「助けてくれてありがとう」



この気持ちが伝わるように、精一杯の笑顔を向けた。




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