【Transformation of Tony】トランスフォーメーション・オブ・トニー


部屋を出て、麗子はまず
コンビニを目指して
歩いていた。

念には念を‥

もしも見付かりそうに
なった時の為にマスクまで
用意しようとしていた。

全身黒+マスク=

銀行強盗も今なら可能?


心なしか道行く人が
チラリと見た後、目を
合わせない様にしている
気がするのだが‥。


麗子にはそんな状況が
見えてはいない。


『いらっしゃいま‥せ‥』


コンビニに到着し、
ドアを開けた途端に店員の
顔が一瞬、強ばった。

麗子はそれすら気付いている
様子も無い。


雑貨の並ぶ棚に直行すると、
中でも一番大きいサイズの
マスクを手に取った。

ついでに医薬部外品系の
ドリンクの棚にあった
二日酔いに効くドリンクも
手に取る‥

無言でレジカウンターに
それらを置くと、会計を
済ませ、釣り銭の小銭を

盲導犬の募金箱へチャリン♪と
入れた。


『あ、ありがとう‥
ございました‥』


人は見掛けによらない
と言った感じで、出て行く
麗子の背中を店員が
眺めていた。


入り口付近のゴミ箱前で
ドリンクのキャップを
捻ると、麗子はグビグビ
それを一気飲みして、
分別[ビン]の穴に
空になった茶色い瓶を
放り込んだ。


声のみならず、行動も
オヤジの様になって来ている。

これも失恋の影響なのか
どうかは定かではない。



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