【Transformation of Tony】トランスフォーメーション・オブ・トニー


もう!
折角、忘れてたのに‥

嫌な事思い出しちゃった
じゃないっ!



お店を出るとチーフが
いきなり振り返り、
もう少しで正面衝突しそうに
なった。


『麗子ちゃんさぁ、
そのワンピも良いんだけど‥』


良いんだけど‥ナニ?


『おいで!‥』


いきなり腕を掴まれて
グイグイ引っ張られて
行く。


一軒のブティックの前に
差し掛かると、チーフが
眼鏡を取り出して掛けた。


店に入るなり、


『あら、ジュンちゃん♪
久しぶり~♪
元気だったあ?

あのね、お願いがあるのぉ。

ちょっとこの娘にね、
服、選んであげて欲しいの♪』


この人は二重人格なのか?


『あん♪
チーフ、おひさ~♪
丁度ね、超イイ感じのが
入ったの~♪
見てって~♪』


このジュンちゃんて人も
チーフの素顔知らないのかな?


女の子だけど同じ匂い
(系統)がするんですけど‥。


それからアタシは試着室に
籠りっきりで取っ替え
引っ替えプチファッション
ショーを展開した。


結局、チーフの一言で
シフォンの淡いピンクの
ワンピに決定したんだけど‥


『麗子ちゃん!

イイっ!可愛い~っ♪
やっぱ思った通り♪

もう、ステキーっ!』


チーフが指先だけを
合わせて手をペシペシ
叩いて黄色い声援を
送ってる。


横に並んで
ジュンちゃんまでも‥



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