愛の手
「お嬢、入りますよ」
「……康平さん?」
少し適当そうな声は、たぶん康平さん。
入るようにいうと、茶髪に眼鏡をかけた康平さんが入ってきた。
「眼鏡かけてましたっけ?」
かかわらない、って決めてたクセに、自分から声をかけちゃってるあたし。
だって気になったんだもん。
「コンタクト失くしちゃってさぁー。お嬢ヒマ?」
暇といわれれば、暇ですよ?
なにもやることないもん。
「ヒマだけど……」
その言葉に、康平さんがにかっと笑った。