愛の手
それに、と声を低くすると、礼央は眉をよせた。
怒ってるみたいな、鋭い目つきであたしを見る。
「康平ってヤツは、浅葱組っていうヤクザに入ってるらしい」
「――…っふ、ぇ?」
とっさのことで、あたしは奇妙な声をあげた。
いままさにお世話になってるのが浅葱組なのに、その言葉が出るとは……
「浅葱組は関東でも最有力の組らしい。そのトップが冷酷な麗人って噂だ」
……麗人?
「そのトップに気に入られた者しか、浅葱組には入れないという超難関。それを突破したのが康平ってヤツだぞ?」
「……へぇー」