愛の手
全身から血の気が引いた。
反して、心臓はバクバクと音をたて始めた。
あたしを追う、ヤクザの親玉。
若、って呼ぶくらいだから、まだ若いのかな。
それでも権力を持つ、悪魔――…
祐輔さんが半歩下がると、うしろから影が動き出した。
あらわれたのは、少し長めの、黒髪の悪魔。
青みがかった瞳に、着崩した着物。
そして、端正な顔立ち。
モデル顔負けなルックスとスタイル。
いまどき着物を着こなせる若者がいるだろうか?
あたしは思わず目を見開いたままかたまった。