愛の手
教室の前で立ち止まって深呼吸。

吸って、吐いて、吸って――…


なんで教室入るだけで、毎回緊張しなきゃいけないんだろうね。



――…ガラガラッ


うるさく話してたはずの教室は、あたしが入ったことによってシンッと静かになった。

どうせ……あたしは教室でいらない部類の子。

あたしがそういう環境をつくったわけであって、自業自得なことなんだ。




それなのに、今日はちょっと違う。

いつもなら見て見ぬフリみたいに、あたしから視線をそらすのに、クラス中がずっとあたしを注目してる。

視線が痛いほど、あたしに突き刺さる。



……あたし、なにかしましたか?

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