愛の手
海は気持ちイイ。
波の音を聴いてると、心が落ち着く。
あたしは足をとめて、しゃがみこんだ。
足元にある桜貝を見つけ、波で洗い流した。
小さいころ、よく両親に連れてきてもらっては、こうして貝とか拾って帰ったっけ。
貝って海の音を記憶してるでしょ?
それが大好きで、よく家で聴いてたなぁ。
でも――…どうしてこんなに海が大好きなんだっけ?
「愛理っ!!」
「――っ!!?」
突然の大きな津波。
あたしはよけられずに、波に呑まれた。