スピカ
「優羽が幸せそうで満足。」
そうつぶやいて俺は歩き始めた。
「あれ?優太どこいくの?」
不思議そうにこっちをみる優羽が愛しい。
「翔歌とのもうひとつの約束を守らないと怒られる。」
「もうひとつって??」
「俺は帰る。おっちゃんとおじちゃんとこに。」
「嘘だよね?」
優羽の目が点になっていた。
ゆっくり優羽に近づいて抱き寄せた。
「あっちに婚約者がいてな、もう一年近くまたせちゃってんだ。」
ネックレスでつけてた指輪は婚約指輪。
指につけると優羽が悲しむから・・・
「そう。じゃぁ、早く言ってあげなさいおにいちゃん!!」
俺の腕を解いて、娘を抱いてそう叫んだ優羽は俺よりも大人に見えた。