ようこそ! 魔破街へ
オレは真剣に話した。

するとムメイは頭をかき、渋い面持ちになった。

「…お前、本当に何も教えてもらっていないのか?」

「父は母の死後、オレのことなんてどーでも良かったんですよ。手元に置いていたのだって、この街へ売る為なんでしょう?」

「それは…」

「親父が例外的にこの街から出られたのは、後に生まれてくる自分の子供を差し出すのが条件―だったのでは?」

「っ!?」

…正直な人だ。

答えが強張った表情から分かってしまう。

「やっぱり…。この場合、犯罪遺伝子の覚醒率が高い・低いも関わらずですか?」

「…いや、そこは基準値が存在する」

じゃあやっぱり、オレは引っかかったモノなんだ。

どちらにしろ、逃げられなかったのは最早運命だったとしか言い様がないだろう。

「最初に知りたいので、聞いておきます。母は…普通の人間だったんですか?」

「…正直に言うと、そうじゃない」

「えっ?」
< 114 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop