ようこそ! 魔破街へ
ここに来る前のことだった。

転校先では携帯電話は禁止されていると親父が言うものだから、渡してしまった。

まあ妨害電波とか流れて、外部とは通信不可能の可能性が高いから、持っていてもあんまり意味はなかったかもしれない。

だけど腹は立つ。

「あんのバカ親父っ!」

犯罪遺伝子を研究していると、ムメイは言っていた。

…何の為に?

自分の身を政府から守る為に、か?

それともオレの中で目覚めるのを防ぐ為か?

「…分からない」

分からないことが多過ぎる。

疑問が多過ぎて、頭が痛くなってくる。

「あ~、かなり参ってんな。オレ」

フラフラしながら、持ってきたカバンからお茶のペットボトルを取り出し、飲んだ。

「温い…」

けれど体に染み込み、何故か甘く感じられた。

親父に対しての怒りはあった。

けれど一番の問題は、オレ自身のことだ。

オレが…考えたくもないが、犯罪者として目覚めることは、今後あるのだろうか?
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