サルビアの妄言

出会い

視点:冬樹



“コンコンッ”

やっと着いた家のドアを、僕は不安ながらもノックした。

「あらいらっしゃい。
月島さんね?どうぞ、あがって?」

「はい。お邪魔します。」

すると家の中から女性が出て来て、僕を家の中へと入れてくれる。
女性、とは知人という訳ではなく朔春のお母さんだ。

『お兄さんが、ママのお友達?』

「そうだよ。」

そして、その朔春のお母さんの隣に立つ見知らぬ小さな女の子。
この子が例の―――……

「千尋が急にごめんなさいね。
朔春がよく色々話てたみたいで。」

僕が少し微笑んで女の子に返事を返すると、朔春のお母さんが女の子の頭を優しく撫でながら困ったように笑う。

「いえ、良いんです。」

「ありがとう。
....何から話せば良いかしらねぇ、困ったわ。沢山話さなくてはいけない事があるのだけど。」

朔春のお母さんは、発言だけでなく、表情を見る限りでも相当困っているようだった。
顎に手をあてて、考えこんでいる。

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