私たちの道標
「或君、一緒に見学行こ」
「うん、いこっか」

藍が笑って言うと、或も笑って返した。

「じゃ、またね紗希」
「うん」

紗希たちと別れ、或と歩き出す。

「何処から行く?」
「野球・・・いってもいいかな?」
「もちろん!!」

或君て、野球してたのかな?


―――――

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「すごかったね、野球」
「あんな速い球、俺は打てないなー」
「そう?或君なら打てると思うよ?」
「藍ちゃんにそー言ってもらえるとなんか嬉しいな」
「へへ・・・」

なんか、笑顔になちゃうよ。

「次は陸上いこっか」
「うん」

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「はー、すごかったね?」
「・・・」
「?・・・或・・・君?」
「え?なんかいった?」
「どしたの?ぼーっとして?」
「あ、いやっ、えーっと・・・。前に、藍ちゃん[お母さん、いつも疲れてるから]って、言ってたの思い出してて・・・」
「え・・・・・・」

うそ・・・あれ、聞こえてたの?

「なんでかなって、思ってて・・・」
「・・・・・・」

聞こえてたなんて知らなかった。
誰にも言いたくなかったのに。
あんなことっ。

「藍・・・ちゃん?」
「あ、えっと、お母さん仕事大変見たいだから」

とっさに、嘘をついてしまった。




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