Short Lovers




(あ゙ー、意味わかんねぇ)


昇降口。

靴箱に体を預けて、ズルズル
腰を下げて座り込む。

人気ない昇降口に、一人。
前髪をくしゃっと握る。


(さっきの、なんだったの)


憂花の声がフラッシュバックする。


「いーのいーの!泰介なら
 彼女とでも帰るでしょ!」


………。

俺、『彼女いる』なんて
アイツに言った覚えないし。

そもそもいないし。



「………」



薄暗くなってきた校庭を一瞥して、俺は重い腰を上げた。


< 14 / 99 >

この作品をシェア

pagetop