Short Lovers




教室。


「てゆーかさ?」


相槌もくれないタイスケ君を、もう冷たいとは思わない。


「そろそろ名前で呼んでよ」


形のいい眉を一瞬ピクッとさせて、はぁ?って顔してわたしを見る。



「なんでだよ」


「だって嘘でも恋人なのに
 いつまでも『先輩』だと
 なんか変じゃんっ」



ウソ。

ほんとは、『先輩』って呼ばれるたび、その言葉に壁を感じちゃうから。

それが無性にいやだから。



「『愛理』」


「……てゆーか教室戻んなよ
 『浦山先輩』」



上手く逃げるタイスケ君の腕を交わして、廊下にあった体を教室内へと入れた。

代わりにタイスケ君が廊下にでるかたちになる。


「あーいーり!」

「はぁ」


わたしはタイスケ君のため息を始めて聞いた。


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