Sugar

1, Sweet

「…俺達が出会って、今日で5年か」


俺の隣で運転している道成が、確かにそう呟いた。

自分もそう言おうと思っていた矢先の出来事。
発せられたその言葉に、驚きを隠せなかった。

そして、同じことを考えていたのだという嬉しさを。


「…そうか。もう、そんな経つんだな」

まるで道成に言われて、初めて気付いたかのように呟き返した。

「5年か。まだ全然短けぇな」
「あぁ、まだまだ短いな」
「…正人」
「ん?」

ワンハンド運転を鮮やかにこなしながら、
道成が微笑み、小さな声でこう囁いた。


「カレンダーに印を付けてたのは、お前だろ?」


…さすがは5年の付き合い。
長いようで短い、5年の歳月を一緒に過ごした親友。

「バレバレ、か」
「当然。あの丸の書き方は正人しかいねぇよ」

勝ち誇った顔で、ハンドルを切る道成。

「道成、本当は今日が楽しみでしょうがなかった」
「奇遇だな。俺もだ」


そう言って、満足げに笑い合った。

何にも変えられない幸福感を持ち合わせたまま、
3人の親友を早く迎えに行きたい気持ちでいっぱいだった。

3人もきっと、俺達と同じだろうから。
早く5人で会って「おめでとう」と言い合いたい。


そんな思いを胸に、
俺は携帯を取って「もうすぐ着く」というメールを打ち
道成はアクセルをゆっくりと踏み締めた。
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