この想いを君に… −あの場所へ−

− 知樹 −

「パパ、足が冷たいよ」

夏なのに、ふと触れたパパの足が冷たくて驚いた。

8月に入って、毎日むせ返るような暑い日が続いている。

今日はママ、お隣りと買い物に行くって事で俺が朝からパパの介護をしていた。

最近、言葉も上手く出なくなってきたパパ。

聞き取りにくい時が度々ある。

「そんなに…冷たい?」

手や足を動かせないパパは感覚がわからなくなっているのだと思う。

「うん、足湯でもしよっか?」

俺が微笑むとパパも口元に笑みを浮かべて頷いた。
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