草食系王子に蜜な口づけを


一瞬の出来事。



あたしと陸の唇が重なった。



陸は手の力を緩めるとパタッと倒れてまた眠ってしまった。



あたしは数歩下がり口元を押さえる。



だってあたし、陸とキスしたゃったってことでしょ?



このあたしでも落ちついてらんないよ!



陸はすーすーと寝息をたててる。



部屋を飛び出し、階段を全力で駆け下りた。



メイドさんたちはビックリしたように「彩乃さま!!?」と声をあげていた。



そのまま家から飛び出し、学校へ向かった。



疲れるなんて忘れ、全力で走った。



冷たい風を全身にあびながら。



だいぶ走ってると結愛と兄ちゃんがいた。



「え!?彩乃!!?」



結愛の横を通り過ぎ、交差点へついた。



もちろん息切れ。



あたしの頭の中は陸でうまってて、なにもかも考えらんない。



ただ今は走ることだけ。


パッと赤信号から青信号に変わった。



学校までなにも考えなくていいように。
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