VIRUS ‐ COCKTAIL
目の前に出されたダイキリは真っ青でほのかにライムの香りがした。

「…んー…。美味しいな。やっぱり最高」
「そう、それは良かった」

そう言うとまたシェイカーを振りだした。
どうやら高梨絵茉のカクテルを作っているようだ。

「高梨はサイドカーが好きなんだ。まァ、“女殺し”って言われてるけどネ。あ、しず姐、今日は度、高めネ」
「高梨は何でサイドカーが好きなんだ?」
「元々ここに来た理由がコレ。前の出張の時にJULEPに立ち寄ったの。タダじゃなかったけどネ~。そこでお薦めは?て聞いたらこのサイドカーだったんだヨ」
「それじゃあ、静夜さんはサイドカーが好きなんですか?」
「うふふ。それはね…。もともと私が好きなX-Y-Zを作ろうと思ったんだけど、まだオープンしたてでお酒慣れしてなくて、ラムとブランデー間違えたの。馬鹿でしょ」

少し、最悪なバーテンだなと思ってしまった。

「エンドーさんって何の仕事してるんですケ?」
「記者だよ。知ってるかどうか分からないけど、週刊TARN-Miiって週刊誌を書いてんだ」
「「ええっTARN-Miiーっ?」」

二人がはもり、驚愕していた。
あれぇ。俺の会社って俺等の国だけが発行じゃないのか?

「あの有名なぁTARN-Mii!?…もしかして、『Yesterday than Today』の記事を書いてるエンドウレントってエンドーさんの事アルかっ!?」
「私も知ってる!!『趣味十色―“TOY LO”of hobbies―』のコーナーの編集は遠藤さん…だったですか…オモチャばっかりの記事、最高ですよ。私コラボした【TOY LOvecamera】買ったんですよ!!」

一瞬見る記事逆なんじゃないかと思ったが、自分の週刊誌が世界でも通用しているのは嬉しかった。

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