I ─アイ─



「どうして…?」


そう問いかけると


きみが笑った。



…そっと私の名前を呼ぶ。



振り返る私に
笑顔で頬に指をつく…



思わず流れた涙は



まるで

何事も無かったかのように、頬をつく指を通り抜けて…






私に現実を突きつける。







この世界に

この社会に

この毎日に


人に、私に、絶望する。



涙が止まらない。





悔しさと後悔、悲しみが。




溢れた感情が言葉にならない。





歯を食いしばって、夜空を見上げる。




気づけば雨が降っている

君が泣いているかのように。








暗く曇り果てた灰色の空に


一番輝く星は見えない







あの日から


少しずつ狂い始めた。

何かが壊れ始めた。



君の得意なクセが君を殺した。







いつも、ずっと

きみは泣いていたんだ…



きっと、ずっとずっと

きみはひとりだった。











…今日は、君の誕生日。



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