明日は
「どうすんの？」

「寝る！」

　父親はそう言うと、着替えて寝てしまった。

　子吉沢はもう一度、外に出て見た。

　雨は小降りになっていた。

　やはり誰もいなかった。父親は幻覚を見たのだろう。と、結論づけた。

　そして父親は無倖坂病院に戻ることもなく、その日から酒を飲んで寝ているのだった。




「そこの病院がどうかしたの？」

　母親は心配そうに子吉沢を見つめていた。

「あっ、クラスのやつが隣町の廃墟の病院を探検したって聞いたから、そんなのどこにあるか気になったんだ」

「廃墟になった病院なんか行っちゃ駄目よ」

「行かないよ。そんな変な病院！」

　子吉沢は真猿と克物が作り話ではないかと、思った。でも、二人の行った廃墟の病院が無倖坂病院でないとも断定できないので、この話題はここで終わった。
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